「僕は見た 狂気によって破壊された僕の世代の最良の精神達を 飢え 苛立ち 裸で夜明けの黒人街を一服の薬(ヤク)を求めて のろのろと歩いていくの を」という冒頭で始まるのは、アメリカの詩人アレン・ギンスバーグの『吠える』です。後にヒッピーたちのバイブルとなった詩集ですが、世の中を変えるには自分の生きるパラダイムを変えようとしていた六〇年台のアメリカで、私を拾ったパートナーが見たヒッピーたちも、日本では風俗に堕してしまいました。犬じゃあるまいに、『吠える』を引用したのは、ひょっとして間違うと、薬を求めてでなくて、食料を求めてさまよう猫生が待っていたのですから、人ごと、いや猫ごとと思えないからです。そしてヒッピーの宿なしが主体的なものであれば、今都会に溢れるホームレスが否応ないもので、その悲惨さは本来ホームレスの自由猫=野良猫の先輩に聞いて知っていました。だからお前に何が出来る、そう詰め寄らないで下さい。私を危ういところで拾って育ててくれた、私のパートナー の愚痴や寝言を通訳して皆さまにお伝えすることで、一人でも「エ!」と思って下さればいいと思っています。ですから、これから成長と共に吠えます。それも 生命の危機を脱して、こんなに安らかに眠れるようになったからです。猫の癖に吠えますし噛みつきますからお許しを。