「僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しいときだなんて誰にも言わせない」とはポール・ニザンの『アデンアラビア』冒頭の名文句です。名文句の次は「何もかもが若者を破滅させようとしている。恋、思想、家族を失うこと、大人たちのなかに入ること。この世界のなかで自分の場所を知るのはキツイものだ」と続きます。成長することが、そのまま喜ぶべきことでない人間様って大変だと思います。でも私は人間で言う二〇歳になった時は、きっと京都で言う「シュ」とした美人で、とりわけ美しい人生、ニャン生を送ろうと思います。
ところで、ニザンが出かけた場所、イエメンのアデンは、あのアルチュール・ランボーも出かけた地です。若い時代、ヨーロッパにノンを突き付けて旅にでた二人にならって、生活の場を離れてしばし京都に旅してくれる二〇歳の若者がいてもいいのですが。旅が人生観を変え、何が自分にとって快適かを教えてくれるのですが、一二〇〇年の歴史と伝統が、その「旅」の真の目的にかなう場所なのだろうか、先祖から伝わる遺産の利子で食べているだけではないのだろうか、京都はそんな自問自答をしつつ、二〇歳の「僕」に受け入れられるのか、それともノンを言いたい町なのか、それを自分達から考えないといけないのかもしれません、と偉そうに猫の分際で・・・・
[文・写真: miya]